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 鳥取県 智頭町  ち  づ
国民健康保険  智 頭 病 院

 [ クリニコス : 病院探訪 ]
“普通の病院”の重要性を理解した者が、
 21世紀の課題 − 地域医療を担う
八頭郡智頭町、JR因美線の駅と智頭急行の始発駅が併設される智頭駅から徒歩5分、プラットフォームからも視認できる距離の小高い丘の上に建つモダンな5階建ての施設。2005年にオープンした智頭町保健・医療・福祉総合センター「ほのぼの」の中核的存在が、智頭病院である。
 院長のMア尚文氏は1997年に内科医、副院長として同院に赴任し、2007年に同院長に就任。智頭町の医療に取り組んで13年目の今を、感慨深げに次のように語ってくれた。
「地域医療は、地域に受け入れられてこそ成立するもの。したがって、地域医療をする者は地域に受け入れられるところから始めなければならないとの覚悟を持って当地に赴きましたが、実際、受け入れられるには7〜8年の時間を要しました。今は、町に溶け込んでいると自信を持って言えます」
 町が受け入れた人物は、地域医療に情熱を持ち、理想の地域医療を実現するために発言し、行動する人だった。智頭町保健センター、特別養護老人ホーム、デイサービスセンター及び学校給食センターと智頭病院が1か所に集まった先進的施設「ほのぼの」も、Mア氏があたためていた基本構想をベースに生まれたものである。

智頭町 国民健康保険智頭病院
智頭町国民健康保険智頭病院(以下、智頭病院)院長の濱崎尚文氏は、確信に満ちた表情で言った。
「先進医療や高度医療のみが医師のプロフェッショナリズムの象徴である時代は、終わる」。いまだに「地域医療は、医療の『端っこ』などと口にする医学生もいるが、「いずれ医療がカバーする大きな山の名は、コミュニティ、つまり『地域』になるでしょう」と穏やかに話すのだった。
「前病院は、私の赴任時にすでに老朽化が激しく、建て替えの必要性が語られていました。せっかく予算を組んで建て替えるなら病院単独ではいけない − 私の意見は、すぐにまとまりました。過疎化と高齢化が進んだ町には、資金的効率からも、サービスの効率からも、保健医療福祉総合センターのようなものがふさわしい。関係者にそう具申すると同時に、智頭町の福祉課と社会福祉協議会に声をかけ、旧病院内に部屋を準備し、医療者と福祉関係者が同じベースキャンプで仕事をする体制をつくりました」
 Mア氏の声がけでできた別組織の共同作業の枠組みは、実質的な「ほのぼの」設立に向けた準備委員会となる。「大それた」とまでは言わないけれども、医師が単独で発案し行動するには、少々スケールが壮大すぎるようにも思えるが −。
 「多くの人は、地域医療を場所の概念でとらえがちですが、間違っています。地域医療とは、地域住民の健康を守る概念で、健診も含めた医療はもちろん、保健、介護などの福祉をトータルにカバーして住民の健康を支えることを意味します。
 そのような本質さえつかんでいれば『ほのぼの』につながる発想は、自然に出てくるはずです」

Mア氏の構想は、今、徐々に、順を追ってかたちになりつつあるという。たとえば、在宅医療。在宅ケアにたずさわる医師や看護師に加えてデイサービス、ショートステイなどをサポートするヘルパーたちが参加するグループミーティングが、週に1回定期開催されている。
  また、地域住民を主な対象にした「ほのぼの出前講座」は、無償で不定期に開催される健康増進、疾病予防の啓発イベントで、「ほのぼの」に在籍する各分野の職員が力を合わせて推進している。今後も、保健・医療・福祉総合センターを舞台に、行政区分にとらわれないコラボレーションが次々に生まれることだろう。
 ところで、総合センターの医療分野を担う智頭病院は、どんな病院なのか。
 「そうですね。一言で申し上げれば『地域住民とともにまちづくりをする病院』と説明できると思います。医療の中身に興味を持つ方には、『コモン・ディシーズのプロの集団』と解説しています」
 事前資料からは、糖尿病、消化器・神経・循環器疾患を対象とした内科、変形性疾患を得意とする整形外科、そして新型インフルエンザ騒ぎの中、全国でもっとも早いワクチン集団接種をリードしたことで注目される小児科などがあるとわかる。それらすべての科を貫いて流れる理念が、「コモン・ディシーズのプロの集団」なのだ。
 「住民が罹患する疾病のほとんどは、ありふれたものです。ありふれた疾病を普通に診察し、治療する。一見、造作もない医療に思われるでしょうが、時代の標準的な医療を提供するには、時代遅れであってはならないだけでく、無闇に最先端であるのも間違い。そこには、高度なプロフェッショナリズムが求められます。
 ですから、どんな病院づくりをめざすかと問われれば、私のチャレンジ精心を理解していただく意味を込めて、『普通の病気を普通に治す普通の病院をめざします』と申し上げています」

2008年度には鳥取大学病態情報内科学教室との連携を築き、クリニカル・クラークシップにおける地域医療体験希望者を受け入れている。
 「研修後の彼らのレポートを読むにつけ、時代が変わりつつあるのを確信します。地域医療の実際に触れ、皆、心から感動してくれる。『こういったことを医学部でも教えてほしい』と記したものもありました。
 つくづく感じます、もう地域医療は理念を語る局面を終えたと。次世代の医師教育は、現場を見せ、実践させ、ともに考える教育とすべきでしょう。当院には、その一翼を担う気持ちがありますし、私自身も勉強会などに出かけ医師教育への造詣を深めていく決意を固めています」
次世代の医師教育は、現場を見せ、
実践させ、ともに考える教育とすべき。

 理論家であり、実践者であり、地域医療の魅力に心奪われた信者でもあるMア氏の薫陶を得た若き医師たちが、鳥取の、全国の地域に根づいていく日はそう遠いことではなさそうだ。

鳥取県 福祉保健部 医療政策課 発行の KLINIKOS(クリニコス)に掲載された内容を再構成してあります。

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